株価のモノサシ「PER」 割安・割高の参考に
同業種で比較
世界の株式に共通するモノサシ「PER」について知っておこう。
「PER」とは?
PER(株価収益率)は株価が割高か割安かを判断する目安としてプロも利用する指標です。
Price Earnings Ratioの略で株価を1株当たり利益で割って求める(図A)。
予想数値で計算
株価は将来の業績を織り込みながら動くので、1株利益は過去の実績値ではなく、会社予想ベースの数値を用いるのが一般的。予想PERともいう。倍率が高いほど業績との見合いで株価は割高、倍率が低いほど割安と考えます。
PERの水準は企業や業種によってまちまちです。業種が違えば事業モデルや業績の変動要因は異なり、投資家が期待する利益水準や成長性も変わります。そのため業種が同じで事業モデルが近い企業の間でPERを比べて判断します。
業種別のPERを見るとバラツキが大きいです。
倍率が著しく低いか高い場合は要注意!
最下位の「石油」は平均5倍台。
個別銘柄では出光興産、JXTGホールディングスはPERがともに5倍台。これらの企業は原油価格の動向で在庫の評価益が変動しやすい。
マイナス金利政策の導入後、構造不況に陥っている「銀行」もPERが平均8倍台と低迷が続く。
個別銘柄ではみずほフィナンシャルグループが8倍台です。利ざや縮小や融資先の先細りから、PERが低いからといって株価が単純に割安とは言えない状態。
反対に業種別PERが高いのが「医薬品」。
平均で40倍を超える。景気動向に左右されにくい収益構造を投資家は評価。将来、利益水準が伸びると期待して先回り買いしている可能性も考えられる。
このほか新しい市場を開拓する企業はPERが100倍を超えることもある。人工知能(AI)開発のPKSHA Technology(パークシャテクノロジー)や、カード決済代行のGMOペイメントゲートウェイなどだ。
PERはその企業の「過去の水準と比べて割安・割高をみる使い方もある」。
例えば三井不動産のPERは5年前に30倍台後半だったのが現在は15倍近辺。
この間、事業モデルがほぼ変わらない点を考慮すると現在の水準は割安といえる。
日本株は低水準
市場全体の相場を測るときは株価指数ベースの予想PERを用いる。日経平均ベースのPERは足元で約12倍だ(図C)。
2012年末に始まったアベノミクス相場以降おおむね13~16倍前後だったが昨年から下回る場面が目立ってきている。海外の主要市場のPERは米国が17倍台、ドイツが13倍台。日本株のPERは相対的に低く、水準だけを考えると株価が大きく反発してもおかしくない。
株価のモノサシ「PER」 割安・割高の参考に :日本経済新聞