2020年1月2日、参考消息網はスペインのエル・パイス紙の記事を引用し、欧州経済の日本化は不可避であると伝えた。
記事は、日本では高齢化が進み、過去20年間でもデフレの年が多く、18年の国内総生産(GDP)の成長率もわずか0.8%にすぎず、過去20年間で2%以上の成長となった年もわずかしかなかったと紹介。「今の日本は、全盛期に2桁成長という世界を驚かす成長率で世界経済を引っ張った日本ではなくなっている」と伝えた。
しかし、日本は明らかに経済の悪循環に陥っているにもかかわらず、18年の失業率はわずか2.4%で、この25年で過去最低を記録したと記事は指摘。マイナス金利政策が続いており、経済振興のために政府は国民に「支出、消費、投資」を呼び掛けていると伝えた。
その上で、このような低金利の状況では、日本の銀行にとって融資は利益の出る活動ではないため、「新たな業務を開拓することでこの種の経済状況に対応している」と記事は紹介。例えば、銀行の改造によって通常の銀行業務のみならず、コーヒーを飲んだり、オフィスとして利用できるところがあったりするという。スペインのサンタンデール銀行は、「この種の作業カフェという概念は未来の道であり、学ぶに値すると見なしている」という。
また、ゼロに近い金利政策の利点として、「銀行の貸倒率が減少すること」があると記事は分析。日本はまさにその良い例で、「このため準備金のニーズも減少したほか、支出負担も欧州の銀行と比べてずっと小さくなっている」という。
利潤の面では、「日本の銀行は自己資本利益率が減少してはいるものの安定しており、銀行業務のボラティリティーや信用リスクも極めて低いため、投資リスクに対応するためにより多くの資金を準備する必要がない」と専門家は分析していると伝えた。
こうした近年の日本の銀行の動きは、「重要な先例となっている」と記事は紹介。銀行が有しているべき資本バッファーの縮小は、欧州連合(EU)の中で最も議論となる問題の1つだが、「日本の例が参考になる」としている。
記事によると、スペインの銀行業界は、資本バッファーが増加し続けることは、投資者に対して安心や自信を示すどころか、銀行の資産健康状態が悪化していることを暗示することになると考えており、主要銀行も資本バッファーの増加は生産的な経済への融資の障害となると見なしているという。(翻訳・編集/山中)